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help リーダーに追加 RSS わたしの美しい娘/ドナ・ジョー・ナポリ/ポプラ社/2008.9

<<   作成日時 : 2008/12/02 07:37   >>

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原題は「Zel」。
塔に閉じ込められた
金髪のラプンツエルのツエルである。
このグリムの奇譚を下敷きとして物語は展開する。

いつもであれば幸せな未来を示唆して
終結する童話の世界。
その中で邪悪な象徴として登場し
闇に消えさるだけの魔女。
ここではそんな魔女からの視点で語られる。
不妊の哀しみ。所有できない他者の愛。
かなえられない望みに捕らわれ
一人の人間が苦しみ嘆く言葉で
物語の風景は逆転する。

ナポリの「ラプンツエル」では
特に最終章の情景の美しさと
登場人物三人の仔細な心理描写が心に残る。
塔から降りた後のツエルを求めて
放浪する伯爵の息子。
死後もかすかな気配として残る魔女の霊魂。
あるがままのすべての人間を受け入れようとするツエル。
再生へ向かおうとする三人の語りが交差する。
やがてその思いがツエルのもとで一つになり
母親として魔女がありのままの世界を受け入れたとき
彼女自身を苦しめていた妄執は消滅する。

「逃れの森の魔女/ドナ・ジョー・ナポリ/青山出版社/2000.2」
やはり同じ型の物語。
「ヘンゼルとグレーテル」の
お菓子の家に住む魔女の視点で語られる。

グリム童話の恐ろしいところは
その無名性と普遍性にある。
物語は時空を越えてエンドレスである。
王子に救われた「白雪姫」が
やがて鏡を覗く王妃になるように
魔女を炉の中へ突き落とした勇気あるグレーテルは
そのかしこさゆえに
未来の魔女を予感させる。

ナポリは童話の深層を見せることで
「昔昔あるところで・・・」という話が
「たった今ここの場所で・・・」起こりうる物語であることを告げている。








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